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暮らしスタイルマガジン
「てまひま手帖」

家族とともに呼吸する健やかな家

お客様インタビュー (更新: )

楽ではないけれど、楽しい暮らし“てまひま暮らし”を実践している人を訪ねる企画「てまひま暮らし人」。第8回は、編集部が建築事業部の設計スタッフとともに、東京清瀬市にあるお宅を訪ねました。

子どもを持つ親なら誰でも、「子どもたちには健やかに育ってほしい」と願うもの。Iさんは夫婦ともにアレルギー体質ということもあり、以前から自然素材を使った家に興味があったそう。そんなふたりが築35年の中古マンションを購入してリノベーションした家には、健康的に暮らすための「見えない」仕掛けがありました。

アイデア次第で理想に近づいていく

設計を担当したのは設計スタッフ(中右)。8歳になる愛犬のうめくんと暮らすIご夫妻(左)。うめくんは、柔らかな杉の無垢材の上でのんびり日向ぼっこ。

菜月さんいらっしゃ〜い。設計スタッフさん、うめもすっかりこの家が気に入っているみたいです。

設計スタッフそれは良かった。おふたりの調子はいかがですか?

菜月さん快調ですよ。引っ越してから、私も夫もくしゃみをする回数が随分と減りました。

編集部あれ? アレルギーですか?

菜月さんそう、ハウスダストアレルギーで。前の家は湿気がすごくて、本や洋服、カーテン、壁にまでカビが生えてしまって大変でした。引越しを検討しながら、いつかは自然素材を使ってリノベーションした家に住みたいと描いていました。リブランのてまひま不動産はネットで見つけたのですが、施工事例がどれも好みだったんです。

識彰さんそれに、妻の実家が清瀬なので西武線沿いで探していたんです。まさにリブランの展開エリアですよね。「ここにお願いしよう」と決めるまでに時間は掛かりませんでした。

構造上断熱ができないため、結露しそうな玄関はタイル張りに。床は水回りとインナーテラス を除いたすべてが杉の無垢材。水回りだけ抗菌作用のあるリノリウムを使用。

設計スタッフ最初は営業スタッフが仲介に入ったんですよね。

識彰さんそうですね。予算のことはもちろん、ペット可の物件が見つかるのかとか、不安はたくさんありましたが、最初に営業スタッフさんがこれからどんなステップが起こりうるのか具体的な話をしてくれたので安心できましたね。

編集部ちなみに、この物件の決め手は?

菜月さん実家の近くで、駅からのアクセスが良いところ。まぁ、ちょっとしたネックはあったんですけど。

編集部ネックって?

設計スタッフ「キッチンは対面式にしたい」と希望されていたのですが、コンロの位置が変更できなかったんです。ただ、コンロは難しいけどシンクだけ対面式にすることはできる。契約する前に「そんな形はいかがですか?」と提案しました。

菜月さん火を使う時以外は子どもと向き合えるので、「それなら」と思いましたね。あとはバルコニーが狭いのが気になって。でも、これも営業スタッフさんに相談したら、「窓に面した部屋の一部をインナーテラスにすればご主人の書斎も兼ねられますよ」とアイデアをもらって、すごく魅力的に感じたんです。多少イメージと違う点があっても、見方を変えればいくらでも方法はあるんだな〜と思いましたね。

識彰さんインナーテラスはつくって正解だったね。念願の書斎だったし、雨の日でも室内で洗濯物が干せるのはありがたい。

インナーテラスの障子は、もとからあったものを再利用。リビングと同じ藍色を塗装して紙だけを張り替えた。ハンガーパイプには市販品ではなく栂(つが)の材を使用。雨の日は物干し竿として大活躍。

「目にみえないところ」こそ大事

編集部藍色を基調とした壁も素敵ですね。デザインはどんな風に決まっていったんですか?

設計スタッフまずはヒアリングですね。引っ越したい理由、新しい家での暮らし方のイメージ、趣味、家で仕事をされるのかどうか……など、まずは図面を描かずにじっくりと聞いて。

菜月さん先ほどのカビの話に加えて、前の物件は玄関が狭いし収納も少なかった。それで出したのが、「玄関は広くしたい」、「ウォークインクローゼットを付けたい」、「畳を敷きたい」、「主人の仕事場をつくりたい」という希望でした。

設計スタッフそこから資金配分の計画を立てましたよね。ここはちょっと贅沢しよう!というところと、ここはちょっと我慢しようかというところとのバランスを決めて。

菜月さんその時に提案していただいたのが、“呼吸する建材”でした。

設計スタッフはい。壁や天井には湿気を吸収してくれる効果のある珪藻土クロスを使いました。でも、実は一番力を入れたのは断熱なんです。この物件はもともと窓が6ヶ所もあって風通しが良い反面、断熱材がありませんでした。階下は駐輪場なので外気の影響を受けやすい。それに、窓は風や光だけでなく冷気や熱気も運んで来る。ヒアリングの時にご主人が寒がりだという話を聞いていたこともあり、断熱はマストだと思いました。

編集部具体的にどの部分を断熱したんですか?

設計スタッフ外気に面する壁と床、折り返しとなる天井部分です。また、6ヶ所あるすべての窓に内窓を造作して断熱を施しました。エアコンの冷暖房の効率が良くなり、カビの原因となる結露を抑えることができます。ちなみに、内窓があると体感温度が2度くらい変わること、ご存知でしたか?

木製の内窓は、断熱性を高めると同時に見た目の優しさもアップ。ダイニングの照明はテーブルの位置に合わせた設計に。

編集部えっ、知らなかった! そんなに変わるんですね〜。でも、断熱するとなると費用も大きくなりますよね?

設計スタッフ断熱によってコストアップした分は、断熱のいらない部分を「躯体表し(建物の構造体がそのまま見える状態)」にすることで調整したんです。

菜月さん私たちの希望はすべて反映してくださるので、断熱に関してはもう設計スタッフさんにお任せしようと。もし、「断熱するのか決めてください」とだけ言われて、夫婦だけで相談していたら削減してしまっていたかもしれない。住んでから苦労するのは自分たちのはずだけど、目に見えない部分だから削減しがちですよね。設計スタッフさんに考えていただいて、ちゃんとやって本当に良かったなと思います。

子ども部屋(左)は、天井の折り返し部分だけ断熱を施して躯体表しに。無垢材と珪藻土クロスでシンプルに仕上げた。寝室に造作した本棚は、識彰さんお気に入りの漫画コーナー。

識彰さんそこから色々詰めていったよね。設計スタッフさんが出してくるデザインがどれも外れてないんですよ。僕たちが「こういうスイッチがあるといいね」と思っていたものが、ちゃんと組み込まれていたりして。

編集部すごい! 設計スタッフさんってエスパー……。

設計スタッフいやいや、奥様からいくつかイメージを送っていただいたんです。

菜月さんでも、細かい部分までちゃんと伝わっているのが嬉しかった。壁の色も数パターンのなかから「これ!」って選んだら、設計スタッフさんは「やっぱりそうですよね」って。分かってるなぁって感じた(笑)。

設計スタッフ「ちょっと大胆かな?」と思う提案に対して、おふたりとも気に入ってくれたのが嬉しかったですね。実は、床材を決める時も「杉は柔らかいからどうかなぁ」と思っていたんです。でも、いざ提案したら、「いいですよ」ってあっさり。あれは驚きました。

菜月さん確かに杉は傷が付きやすいというリスクがあるんですけど、我が家は犬がいるので、堅い木でも変わらないなと(笑)。それよりも節の美しさや肌触りの良さが気に入っています。

設計スタッフいいですよね。僕の自宅も床が杉なんです。自分自身が身をもってその良さを感じているので、つい勧めたくなるんですよね。

心身ともに快適になった新しい家

リビングの壁は環境対応型水性塗料を使用。壁の下地である石膏ボードがもつ調湿性を妨げないそう。廉価なイグサの畳は農薬が心配なため、和紙を植物性の染色で染めた和紙畳をリビングの一部に使用。

識彰さんそういえば、娘も風邪をひかなくなったね。前は「寒い」とか「暑い」とかよく言っていたのに。

菜月さん確かにそうだね。あと、前の家の時はとにかく狭かったから彼女を起こさないようによく小声で話していたよね〜。お互いくしゃみも我慢して(笑)。でも今は寝室とリビングの距離が離れているから、普通の声で話せる。体調だけじゃなくて、気持ちにも余裕が生まれた気がする。

識彰さんうん。このタイミングで住み替えて本当に良かった。快適すぎて、もう前の暮らしには戻れないよね。

理想の家を求めて直面する課題。ご夫婦にリブランが寄り添って、その一つひとつに楽しく一緒に知恵を絞り、見えない素材の力を活かして、快適な暮らしを支える健やかな家ができました。


企画:てまひま不動産 株式会社リブラン
⽂:原⼭幸恵(tarakusa)
写真:⼩賀康⼦