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「てまひま手帖」

戸建部分リノベで生活空間と音楽教室の動線を心地良く分ける

お客様インタビュー (更新: )

楽ではないけれど、楽しい暮らし“てまひま暮らし”を実践している人を訪ねる企画「てまひま暮らし人」。第27回は、編集部がてまひま不動産 営業担当の上月と設計担当の内田とともに、東京都杉並区にあるお宅を訪ねました。

いつかは定住したかったIさんご夫婦。自分の家でピアノ教室を開きたいという妻MIHOさんの夢を実現するためにあらゆる物件を探し、奇跡の出会いが。なんと防音室を完備した築18年の中古戸建てに出会います。生活空間と教室スペースが分かれている2階建の間取りを生かし、部分リノベを実施することに。何を優先し、何を手放してリノベーションをしたのか、そのプロセスについてお話をお聞きします。

どんな条件でも諦めない 物件探しはてまひまが全力サポート

上月お邪魔しま〜す! 久しぶりにご自宅をお訪ねしましたが、リビングの開放感がやっぱり良いですね。梁も印象的。ハンモックも素敵ですね!

MIHOさんお久しぶりです。ずっとお付き合いいただいた上月さんには、変化している家の中をじっくり見てほしいです。

編集部わぁ、ワンちゃんもご一緒に! かわいいですね。

HIROさんポコちゃんと言います。今日は随分とおとなしいなぁ(笑)

編集部ところでおふたりは、てまひま不動産のことをどのように知ったのですか?

MIHOさん当時もこの家の近所に住んでいたんですけど、散歩をしていてたまたま西荻窪店の前を通りかかった時に、直感で「なんか良いな」と思って入ったんです。そこから上月さんとのお付き合いが始まりましたね。

HIROさんそれまでは賃貸住宅でしたが、そろそろ定住先が欲しくて、家を探したいなと思っていたんです。

編集部MIHOさんはこれからピアノ教室を開く予定だとお聞きしましたが、はじめからそのことを想定して家探しをしていたのですか?

左から営業部の上月、HIROさんとMIHOさん、設計担当の内田。出会った頃からを振り返り、時折大笑いしながら話す。

LDKの床はカバの無垢材で、適度な硬さで足に負担がかかりにくいのがポイント。ご夫婦も愛犬ポコちゃんも素足で気持ち良さそう。

MIHOさんはい。防音室のある物件か、ピアノ教室ができる物件を探していました。

編集部それは大変そうですね。どれくらいの数の部屋を見に行ったのでしょう。

HIROさん20件は見たんじゃないかな。マンションと戸建てと両方見ましたね。

MIHOさんマンションは、楽器演奏について趣味で弾くことを認めていても、ピアノ教室を開くことは規約上不可にしているところがほとんどでした。なので、結局候補から外してしまいました。

天井を抜いて開放的な雰囲気のLDK。キッチンはサックスブルーのタイルで爽やかな印象に。リビングには家具や造作物はなるべく置かず、最小限の食器棚やダイニングテーブルをそろえる。

1階の防音室。ピアノ教室開始に向けて、室内には環境先進国ドイツ生まれの自然素材でできた何度でもペイントできる塗装クロスを採用。「ピアノ教室に通う子どもたちに塗ってもらうのも楽しそうと思って」というMIHOさんの心配り。

HIROさんそれなら戸建てを探そうかとなったものの、戸建てで条件に合う物件を探すのが本当に大変で……。希望エリアを杉並区内、それも一部のエリアと限定していたので、とにかく見つからなかったですね。

編集部その間に待つのが嫌になりませんでしたか?

MIHOさんそんなに急いでいなかったので苦ではなかったです。ただただ「良い物件が出ないなぁ……」って1年近くじっと待っていましたね。一生懸命条件に合う物件を探してくれていた上月さんがいたから私たちも待とうって思えました!

HIROさん忘れもしないよね。興奮した上月さんから「物件が見つかった!」と連絡をもらった日のことを。

編集部それがこのお家なんですね。どんな物件だったんですか?

上月なんと、もともと防音室が備わっていた中古の戸建てが見つかったんです。さらに、1階に廊下があって2階に行く時に教室用のお部屋の中を通らずに移動できるので、生活空間とも分けられることが魅力でした。見つけた瞬間に動揺しすぎて、自分のカバンにコーヒーを盛大にこぼしちゃいました(笑)。

MIHOさん「こんな奇跡の物件が見つかるとは!」と、みんなで歓喜しましたね。もちろん即決です。

限られた予算の中で優先すべきものを見極める

編集部リノベーションをする上で「これはマスト!」としていた条件はあったのでしょうか?

HIROさん物件の購入金額と、リノベーション費用を合わせた上限金額は決まっていましたね。防音室付きの戸建てが理想のエリアで見つかったので、この物件を購入することは揺るぎなく、残りの予算範囲で部分的にリノベーションをすることになりました。

MIHOさん最初は屋根や壁など、家の外回りもリノベーションしたいなと思っていたんです。でも限られた予算のなかでできることは決まってきます。設計担当の内田さんと相談して、まずは内装を中心にリノベーションすることになりました。

1階は玄関框(靴で入ることができる「たたき」と靴を脱いで上がる「床」との間に入っている横の化粧材)の位置を後退させて土間に変更。2階は間取りは変えずに屋根裏収納を撤去し、天井を抜くことで開放感を出した。

内田家の中は住み始めてからだと大がかりなリノベーションが難しくなってきます。一方、外構や外装のリノベーションは住み始めてからも比較的作業がしやすいです。そのうえ、ホームインスペクションの結果、屋根や外壁など外回りに緊急性を要するものがなかったので、負担を考えて、内装を先行することをご提案させていただいたんですよね。

HIROさんアドバイスいただいたおかげです。外装リノベーション箇所に回していた予算が浮いた代わりに、室内リノベーションの予算にプラスすることができたので良かったです。

MIHOさん急に夢が広がって「あれもやりたいな〜これもやりたいな〜」と気持ちが踊ったなぁ。

編集部2階は和室とリビングがひとつずつですが、どんなことを意識しましたか?

MIHOさんなるべく物を置きたくないので、シンプルな空間を目指しました。

HIROさんこれまで転勤で引っ越しが多かったので、物を多く持ちたくなくて。実はリノベーション前にはリビングの上に屋根裏部屋があったのですが、内田さんと相談して屋根裏部屋をなくしてもらいました。

編集部ここにある梁の上部の溝は、その屋根裏部屋の床組の名残なんですね。屋根裏部屋を無くすとずいぶん高さがあるし、空間が広く感じます。

リビングbefore。

リビングafter。11帖だが、それ以上の広さがあるように感じる。照明や植物など吊り下げられるのが魅力。

内田せっかく雰囲気を変えるならば、梁を活かして広がる空間にしたいなぁと。あとは天井ふところを無くしたことで断熱性が弱まることから、屋根の野地板と斜め天井の隙間に通気層と断熱層を設けました。とても暖かいですよ。

HIROさん日当たりが良いから冬の午前中はエアコンを使わなくても十分に暖かいんです。これは嬉しいですね。

編集部シンプルな空間には床の無垢材の雰囲気がぴったりですね。

MIHOさん初めは無垢材のことを知らなかったのですが、内田さんに勧めていただき、心が動いて取り入れました。室内が暖かいから素足で過ごせますし、だからこそ無垢材の気持ち良さを毎日感じることができて嬉しいです。犬がいると床に傷がついてしまうこともありますが、それも味わい深いものになりますね。

編集部キッチンもすっきりした印象です。

MIHOさん物をたくさん置きたくないので、元々あった吊り戸棚を外して、代わりにシンプルなステンレス素材で出し入れがしやすい見せる収納のキッチンにしてもらいましたよ。

インダストリアルな雰囲気のあるキッチン。手に届く範囲にキッチンツールを全て収めている。シンプルな設備にしたことで、予算内に納めることができた。

内田おふたりのご希望をうかがい、私たちからはリノベーションやD.I.Y.によく使われるtoolbox社のキッチンアイテムを提案しました。

HIROさん実際に使い始めてみて、物の出し入れがしやすいし、見た目もすっきりしていて心地良いですね。

土間を活用して暮らしと教室の動線を分ける

編集部1階は土間が印象的ですね。壁に吊り下げられた自転車が、まるでインテリアの一部のようです。

HIROさん屋外だと自転車が日焼けするのが気になっていて、室内に自転車を置きたかったんですよね。内田さんと相談して自転車のラックを設置してもらいました。実際に使用し始めて、土間だと雨天時で泥や水で汚れても掃除しやすいなと実感します。屋外のガレージのような感覚で使えるので、土間を設けてよかったです。

左)玄関入ってすぐの土間スペース。見せる収納として自転車スペースと収納ラックを設置。右)手洗いスペースは愛犬の足洗いにも活用されている。もちろんこれから始まるピアノ教室の生徒さん用としても思う存分に活用予定。

編集部玄関入ってすぐ目の前に、手洗いスペースがあるのは便利ですね。

MIHOさんピアノ教室に通うお子さんたちが教室スペースに入る前に、手が洗えるスペースがあったら良いなと思って。

内田洗面所が1階の別スペースにありますが、生徒さんが生活空間に入らずに手洗いができるスペースがあると良いだろうなと。おふたりの希望を叶えるためには「土間スペース」が良いのでは? と思って提案しました。土間スペースづくりは私たちの得意分野でもありますから!

編集部インテリアのアクセントになっているタイルも素敵です。

MIHOさんキッチン・洗面所・手洗いスペースと水回りの3箇所にタイルを施したんですが、全てデザインと色合いを変えて個性を出しました。

家は育てていくもの 無理のないリノベを

編集部ご夫婦にとってリノベーションの過程で印象に残っていることはありますか?

MIHOさんレイアウトやデザインを決める時に、いくつか「こういうのはどうですか?」と選択肢をもらえたことが良かったです。例えばキッチンのメーカーやデザインを決める時も私たちの希望を聞き、ある程度の条件を絞ってくれた上でそこからいくつかデザインを提案してくれたので、検討しやすかったです。

水回りにタイルの仕様を希望したMIHOさん。複数のデザインと中間色が提案され、エリアによってトーンとデザインを変えて用いた。

HIROさん内田さんが私たちに無理のない範囲の提案をしてくれたことが印象深いです。先ほど話したリノベーションの優先順位を決めることもそうですね。現実的な予算内で、1番最適な方法や住んだ先のことを考えて提案してくれたからこそ私たちも納得して取捨選択ができました。

壁紙には動物のテキスタイルを採用。「訪れる子どもたちが楽しく過ごせるように」とMIHOさん。

編集部実際に住み始めていかがですか?

HIROさんとても快適です。生活空間が決まってから室内のアレンジを少しずつ加えていますよ。ますますモノを捨てていて、犬を迎えてからはソファを捨て、代わりに梁を生かしてハンモックを設置しました。

戸建てに住むなら迎え入れたいと犬を飼い始める。梁から吊り下げたハンモックで愛犬ポコちゃんとゆらゆら。

上月引越し直後に訪れた時より、さらに変化していってますね。

内田それは実感しますね。まだまだやりがいがありそう。暮らしに合わせてアレンジをしていくことが、楽しみのひとつでもありますから。これからもいつでもサポートしますよ。

MIHOさん嬉しい。これからもずっと相談させてくださいね。私たちに実現可能なアドバイスをくださるから心から信頼しています。室内はもちろん、外構や外装もアレンジを加えていきたいですね。まずはピアノ教室をしっかり始めようと気合が入りました! 楽しみにしていてください。

「いつかはピアノ教室を」その夢がまもなく叶うIさんご夫婦。子どもたちが行き来する教室と吹き抜けと無垢材の床が気持ちの良い居住空間がしっかり分けられ、それぞれのスペースに理想を散りばめることができました。これからも変化する暮らしに合わせておふたりがアレンジしていく未来が楽しみです。


企画:株式会社リブラン
編集: tarakusa
⽂:永見薫
写真:丹野雄二