無垢材のフローリングのメリット&デメリット
フローリングに人気の「無垢材」。その木目の美しさ、肌触りの良さだけでなく、化学物質を含まない安心な自然素材として、てまひま不動産でもおすすめしています。
この記事では、そんな無垢材について、詳しく見ていきましょう!
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無垢材(むくざい)のフローリングとは?
「無垢材」とは1本の原木から必要なサイズを切り出した、自然のままの木材のことです。読み方は「むくざい」と読みます。フローリングの床材や、またテーブル、棚など家具など、家具の資材としてよく使われています。
この記事で、フローリングとして利用される無垢材と、そのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう!
無垢材のフローリングのメリット
それでは早速、無垢材のフローリングのメリットから。
1自然の温もりが感じられるお部屋になる
無垢材は自然の木そのものですので、フローリングとして用いれば、足の裏の肌触りがよく、温かみのある木のぬくもりを楽しむことができます。また、特に新しい無垢材からは木の香りが漂って、リラックス効果もあります。
なんといっても、足裏の感触が優しくて気持ちいいんです。このぬくもりこそ、無垢材フローリングの大きな価値の一つですね
2湿度を調整して、お部屋の空気を快適に保ってくれる(調湿作用)
無垢材には、無垢材自体が空気中の水分を吸ったり吐いたりすることで、お部屋の湿度を調整してくれる「調湿作用」があり、お部屋を快適な状態に保ってくれます。
このような機能は、一般的な合板で作られる複合フローリングにはありません。複合フローリリングは薄く切り出した板などを接着剤で重ね合わせて作られますので、木の表面の多くが、空気に露出していないのです。
また、このように環境によって寸法の違いが多い・少ないことを「寸法の安定性」と言うことがあります。
無垢フローリングの吸湿作用については、リサーチはこちらの動画も:
3化学物質を含まないから安心、安全な住まいに。
接着剤で作られた合板とくらべて、無垢材は自然の木そのまま。化学物質の心配がないから、敏感な方や、子育てにおいても安心して過ごすことができます。
複合フローリングの接着剤も、一昔前はホームシック症候群の原因物質として問題になりましたが、現在の流通しているものは問題がクリアされています。でも、やっぱり無垢の、自然そのままの素材が一番安心ですよね。この点は大きなメリットとなるはずです。
4デザイン性の高さ、深みのある味わい
自然のランダムな木目の美しさは、無垢材ならではの良さです。突き板フローリングや樹脂のシートのフローリングとくらべても、その差は明らかで、深みのある味わいが感じられます。
5色合いの経年変化を楽しめる
無垢材を施工した直後も美しさももちろんありますが、時間が立つことで色合いが変化し、味わいが増してくるのも特徴の一つです。定期的なお手入れが必要ですが、経年変化を楽しむこともできます。
時間とともに色が濃く、赤っぽくなっていく樹種もあれば、色が薄くなり褐色に変化していくものもあり多様性があります。これも無垢材ならではの楽しさといえるでしょう。
無垢材のフローリングのデメリット
無垢材フローリングのデメリットも、しっかり確認します。ただ、多くのデメリットは回避方法がありますので、それらも一緒に見てきましょう。
1価格が高くなりやすい
無垢材のフローリングはは、合板フローリングのように均一的な品質で工業的な大量生産がしにくいため、高価になっていきます。フローリングとしては床面積分の資材が必要になりますので、価格の差が現れやすいと思います。
同じ無垢材でも、樹木のランクや、木材のどの部分を使うかによって、寸法安定性や、木目、節の多さなどが変わってきます。これらは「グレード」と呼ばれるカタチで価格に反映されています。多く場合、ご予算と合わせてどのグレードを使うか検討できますよ。
2お手入れ・メンテナンスが必要
無垢材のフローリングは、定期的にワックスでお手入れが必要です。
使用状況により、ダメージやワックスの剥がれが異なりますので、よく通る箇所は数ヶ月に1度、そうでもなければ1年に1度など、床の状態を見て判断することになります。
ワックス・オイルによるお手入れをしなくても直ちに悪くなるものではありませんが、ワックスがない状態だと汚れがつきやすく表面が黒ずみやすくなるので注意が必要です。
3われ・ソリ・きしみなどが発生することがある
メリットの1つとして調湿作用について触れましたが、無垢の床板が水分によって膨張・伸縮するため「寸法安定性」が低くなっています。これによりキシミや反りが発生することもありますが、品質のよい無垢材であれば、加工時にしっかりと乾燥させるなどの方法でこの問題が軽減されています。
4板ごとのばらつきがでる
ランダムな木目はメリットでもありますが、逆に不均一で品質を揃えにくいことを意味します。
好みやお部屋のイメージ次第だと思いますが、同じ樹種の無垢材でも、グレードの高いものは、均一で節や脂壺などが少ない品質で揃えることもできます。(もちろん、やや値段が高くなります)
5凹み・水分に弱いので注意が必要
樹種によって硬いものや柔らかいものもありますが、いずれも強い衝撃を受けると、表面に凹み(へこみ)が発生やすくなっています。また、水分にも弱く、水やジュースをこぼして放置すると、水のシミができやすくなっています。
ただし、いずれもアイロンやヤスリを使う方法で、自分で補修が可能です。(メンテナンス方法は後述)
無垢材の原木:針葉樹と広葉樹の違い
ここからは、さらに詳しく無垢材自体の特徴について、見ていきましょう。
無垢材は、使用する原木の樹種によってその特徴に傾向が出てきます。まず、おおまかには、針葉樹は材質が柔らかく、広葉樹は硬い傾向にあります。
針葉樹は、柔らかく暖かみがある
まず、針葉樹は材質が柔らかい傾向があり、優しい肌触りがあります。明るめの色が多く暖かみがあます。フローリングでは、スギ(杉)、ヒノキ(檜)、パイン(松)などが一般的です。
また、木の成長の早い傾向にありますので、広葉樹とくらべると若干、安価な種類もあります。ただし樹種やグレードによりますので、一概には言えません。
広葉樹はずしりと重く、硬い
広葉樹は、材質としては木が締まっており重たく、硬い木材となる傾向があります。その硬さから、凹みや傷が比較的つきにくく耐久性に優れていますが、広葉樹と比べるとさわり心地は冷たく感じられるものが多いはずです。
広葉樹は、針葉樹にくらべて成長がゆっくりなものが多いです。そのため一度に入手できる量も少なくなりがちで、価格が高価になりやすい傾向があります。
無垢材としてよく使われる広葉樹には、オーク(ナラ・楢)、アカシア、メイプル(楓)、ウォールナット(くるみ)、バーチ(樺・かば)、チークなどがあります。
拡大してみた広葉樹と針葉樹
針葉樹の「ヒノキ(左)」と、広葉樹のヤマザクラ(右)を電子顕微鏡で観た様子です。ヒノキがたくさん穴があり、空気を沢山含めることがわかりますね。
触った感触も温かみがあり柔らかいさわり心地となります。また、比較してヤマザクラはどちらかといえば、蜜に詰まった印象です。無垢の床板でも、こういった性質の違いは樹種によって様々です。
人気の無垢材フローリングの種類と特徴
それでは、フローリングとして代表的な無垢材の樹種を、施工事例と一緒に見ていきましょう!
1スギ(杉)の無垢材フローリングの特徴
杉は、日本でも建築の木材として非常に一般的な樹種。
木目も鮮やかで明るい印象があります。やわらかく、弾力性にも優れているので、踏みごこちや足裏の感触も気持ちがよいです。また、新しい無垢板はスギの木の香りが強いのが、一番の特徴です。
杉の香りは、お好みによりますが、好きな人も苦手な人もいるかもしれませんね。
2ヒノキ(檜)の無垢材フローリングの特徴
檜(ヒノキ)と聞いて、ぱっと思い浮かぶのは「ヒノキ風呂」ですが、ヒノキはお風呂の浴槽に使えるくらい「水に強い」のが特徴の樹種です。リラックス効果もあるその香りには、害虫が嫌う成分も含まれているそうです。
癖のない木目で、固く強度や耐久性もあり、経年変化で色が濃くなりうっすらとアメ色に変化していきます。
3アカシアの無垢材フローリングの特徴
すぐにわかるアカシアの特徴は、1枚1枚の床板の色合いの不均一さです。
原木のアカシアの丸太では、中心付近は濃く暗くなり、逆にの外側は明るめの色合いとなるため、切り出した床板を敷き詰めた時、アカシア特有の色のコントラストとリズム感が楽しめますよ。
材質としては固く耐久性があります。腐りにくいので屋外の建材としてよく使われる樹種となっています。
4パイン(松)の無垢材フローリングの特徴
パイン(松)はスギ材と同じく針葉樹で柔らかい樹種となります。断熱性があって、肌に温かみを感じられ、足元が暖かくすごせます。
欧州産のレッドパインが流通も多く一般的ですが、国産のアカマツ、クロマツやカラ松など、様々な産地の樹種があります。
傾向としては全体的に白っぽい色合いで、時間とともに茶系の色味に変化していきます。節が多いのも特徴的で、温かみのある、素朴で居心地の良い雰囲気を演出します。
5オーク(楢・ナラ)の無垢材フローリングの特徴
広葉樹であるオーク(ナラ)。どんぐりの木として知られています。同じくどんぐりで知られるカシの木と混同されますが、ナラは落葉樹、カシは常緑樹で分類がやや異なります。
欧州産のヨーロピアンオークや、国産の「ミズナラ」も同じ樹種で、フローリング材として流通しています。
オークはウイスキーやワインの樽などの材料として用いられてきた材木で、耐水性、耐久性に優れています。弾力性にやや欠けますが、硬さがあり傷や凹みがつきにくいのが特徴です。そのため、外履きのまま踏まれる店舗の床板にもちいられることもしばしば。
明るい色味で、木目もくっきりしています。虎斑(とらふ)と呼ばれる、虎の斑紋のような杢(もく。木目の事)が所々に現れることも知られています。
高価になりやすい広葉樹の中では、どちらかとえば手頃な無垢材となっています。取り入れやすく、ナチュラルな印象が良いですね。
6ウォルナット(胡桃・くるみ)無垢材フローリングの特徴
ウォルナット材とは、胡桃(くるみの木)、無垢床としては「ブラックウォルナット」と呼ばれる種類がよく知られています。(白っぽいものもあります。)
ブラックウォルナットは「世界三大銘木」の一つとして知られるほどの、高級材です。しっとりとした暗めの落ち着いた色合いと、重厚感のある木目が美しい素材です。使い込まれてていくと、徐々に色が抜けて明るい茶色へ変化していきます。
少し高価ですが、非常に硬いので傷がつきにくくて、耐久性が高いのが特徴です。また、乾燥時に歪みや狂いが少ないことから、ギターなどの楽器などにも使われる樹種です。
7チークの無垢材フローリングの特徴
チークは、ブラックウォルナット、マホガニーとならぶ「世界三大銘木」の一つです。
東南アジア原産のチークは、マホガニーのように堅く強靭で耐久性があり、しっかり乾燥させたチーク材は伸縮率が小さいため、古くから高級木材として寺院などに使われていたそうです。天然の油分を多く含むことから海水にも腐食しにくく、船の甲板にも使われています。防虫性にも優れます。
油分による茶褐色の艶っぽい風合いがあり、見た目にも高級感があります。
ミャンマー産の天然のチーク材は最高級品となります。無垢フローリングに使うにはかなりの価格になりますので、インドネシアで植林されたものを使うのが一般的です。
8バーチ(樺、カバ、カバザクラ)の無垢材フローリングの特徴
バーチ(Birch)よりは、樺(カバ)と呼ぶほうが馴染みのあるかもしれません。
しばしば「カバザクラ」や単に「サクラ」と呼ばれる事もありますが、いわゆる「桜(山桜)」とは大きく異なる系統の樹木です。ただし木目がよく似ていて安価な傾向があるので代用品とされるなど、フローリングにはこちらのほうが一般的かもしれません。粘り・強度もあり加工しやすい材木として知られています。
木の色目は、樹種や産地によって白っぽいものや、黄色っぽいものもありますが、いずれもナチュラルな風合いで、節が少なく主張しすぎない控えめで落ち着いた木目。ほどよい光沢もあり、フローリングとして使うと優しく上品な印象に仕上がります。
年数を経ても変色しにくく、硬すぎず柔らかすぎず、適度な硬さで足に負担がかかりにくいということで、ダンスフロアや学校の体育感などにも使われています。
価格的にも手頃で、フローリングに取り入れやすい人気の床材です。
【ご参考】てまひま不動産スタッフのおすすめフローリング用の無垢材
てまひま不動産のスタッフのおすすめの無垢材を聞いてみました!ぜひご参考になさってください:
無垢材フローリングは、オイル・ワックスで保護しよう!
木の表面に浸透するオイル・ワックスで汚れから守る
自然のままの良さがある無垢材も、無塗装の状態でフローリングに使用することはあまりありません。無塗装の状態では水分や油分を吸い込みすぎるため、汚れがつきやすくなってしまいうからです。
これを保護するため、無垢材の表面に浸透するオイル・ワックスを使用するのがおすすめです。てまひま不動産では、自然素材のエゴマ油と蜜蝋をミックスした「蜜蝋ワックス」のご使用をおすすめしています。
表面をコーティングするウレタン塗装という仕上げもありますが、こちらは表面をコーティングして、傷や汚れをつきにくくする代わりに、木の質感や手触りがなくなり、また調湿効果も損ねてしまいます。
せっかくの自然素材の無垢材ですので、こうした浸透系のオイル・ワックスだと、その特徴を活かすことができますよ。
ワックスで無垢材に艶(つや)がでて、美しくなる
オイル・ワックスによって、その撥水作用により無垢材を汚れから保護するだけでなく、表面に艶がでて美しく保つことができます。肌触りもサラッとして気持ちいいですよ。
ご参考まで、こちらの写真はチークの無垢材に蜜ろうワックスを塗った部分と、塗っていない部分の比較です。ツヤ感が出ているのがわかりますね。
木の表面に浸透するワックス塗装ですので、このように「濡れたような色合い」になりますが、この濡れ感をおさえた「ドライタイプ」のオイルも販売されていますよ。好みにあわせて選ぶことができます。
定期的にワックスを塗ろう
頻繁に人が歩く通路や、お掃除でよく拭いている箇所は、ワックスが少しずつ剥がれてきますので、定期的なワックスがおすすめです。無垢フローリングへのワックスがけの方法をこちらの動画記事にまとめています:
無垢材フローリングの掃除とお手入れ
無垢材のフローリングの、毎日のお手入れについてです。無垢材フローリングは面倒なイメージがありますが、普段の掃除は意外に簡単なのです。
乾拭きや、ほうきや掃除機でお掃除しよう
毎日のお手入れは、お掃除だけ。乾いた雑巾を使って乾拭きをしたり、掃除機やほうきをつかって表面の塵やほこりを取り除きます。これだけでOKです。
汚れが気になる部分は、水拭きもOK!
何かをこぼしてしまった部分だったり、汚れが気になる箇所があれば、水拭きしても構いませんが、やはり無垢材は水分に弱いですので、必ず雑巾を硬く絞って行いましょう。
無垢材フローリングの詳しいお手入れ方法はこちらの記事も、ぜひご一読くださいね:
強い汚れの落とし方
醤油・ソース、油性マジックなどの強力な汚れでも、自分で汚れを消す事ができます。こちらで実証実験をした記事と動画がありますので、ぜひご覧ください:
凹み(へこみ)や小さな傷も自分で治せる!
ふとした拍子に携帯を落として、無垢材の表面に凹みができてしまっても、アイロンを使って修復ができます。詳しい修復方法は、こちらの記事で解説していますよ。
無垢材を暮らしに取り入れてみませんか?
無垢材について、幅広く解説しましたが、いかがでしたでしたでしょうか?
無垢材をフローリングに取り入れることで、自然素材が持つ様々なメリットを暮らしに取り入れることもができます。
毎日のお掃除も簡単。ワックスがけがひと手間かもしれませんが、ちょっとした汚れや傷も修復できるから、自分でお手入れする楽しさがあり、だんだんと愛着が湧いてくるはず!
無垢材でのリノベーションのご相談は、てまひま不動産へ
「てまひま不動産」は、中古マンション・戸建て探しと、リノベーションの専門店です。自然素材がもつ良さを活かしながら、快適で楽しい暮らしと住まいをご提案しています。
無垢材についてはもちろん、中古物件やリノベーションのご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせ、ご来店くださいませ!