「知の貯金箱」×「社内勉強会」
「アマゾンのオススメで出てきたので買いましたが、読まないで積んでいました。そのタイミングで、ライボンアプリを作成してくれたワールドスケープの海保社長とオススメの本の話をしていたら、超オススメですと言われたので帰ってすぐに読んだんです。」
書籍「経営者になるためのノート」
今年度、若手社員(入社4年目未満の30代前半までの社員)対象に社内勉強会を立ち上げた資産活用部長の渡邊裕介(39)は、この本と出合ったことが社内勉強会を立ち上げるきっかけになったという。
気になった本を購入してもすぐに読まずに手元に置いて、ある日何かのきっかけでページをめくり出す、ということは渡邊に限らずリブランの社員の中ではよくあること。「知の貯金箱」は、そういったこともあらかじめ想定しているリブラン独自の社内制度。”社員が読む本の購入代金は全額会社が負担する”というものだ。
「知の貯金箱」について、弊社会社案内のコラムからご紹介
年間1,376冊。なぜ、リブランは、社員に本を与えるのか。
自分が如何に生きるかを考える指針となるものを、本は与えてくれる。
アイデアや思想とは「言葉」であり、その語彙は本の中にある。語彙がなければ生き方は磨けない。社員が本気で次の時代をつくろうと戦う時、丸腰では戦えない。だから本という武器で知識を武装する。しかし、その武器を握るか握らないかは、本人次第、選択は自由。
個人の自主性にゆだねられる。
1376冊、2,006,458円。これは、1年間に社員が読んだ本の冊数と購入代金。それは全額会社の経費で支払われている。利用者は36名、78%の社員が利用した。入社前にはほとんど本を読まなかった社員が、今ではSNSを使い自分の読んだ本を紹介している。それを見る社員同士で「あの人はこんな本を読むんだ…」という理解も深まっていく。一番たくさん読んだ人は163冊。隠さずに言えば、本をたくさん買う社員もいれば、買わない社員もいる。何冊も読まなければいけないという強制的な縛りはない。そして、どんな分野の本でも構わないというルールは、社員の自発性を重んじるリブラン流。
問題を解決し、社会を変え、自分の手で未来をつくりたい、そう思った時、学びたいという欲求は自然についてくるもの。だから、もしこの本の購入代金が半分になってしまったり、0に近づくとすれば、それはすなわち、リブランの死を意味する。
会社から費用を出してもらう以上、仕事に役立つ本を読もうという意識から、ビジネス書、実用書を買う社員も多い。しかし、人の興味の軸は、必ずしも仕事上に存在するものでもない。今、自分が興味を持てることから始めるしかないのだ。小説でもいい、漫画も否定しない。泣きたい時は、本を読んで泣けばいい。壁にぶつかり、苦悩するたびに、自分の相談相手となる一冊を選べば良い。そこから興味が広がっていくことを待つしかないのだ。
(中略)
本を読むことで知識の吸収と、意見交換が行われ、新しいプロジェクトを立ち上げる原動力になっていく。リブランが社員にあらゆる分野の読書を支援することで、そういった芽が確実に育っている。
社員が読む本は、会社が負担する。そんなことが、当たり前の世の中になってほしい。
社員が立ち上げた社内勉強会
渡邊は、書籍「経営者になるためのノート」に出会い、この本の内容が、企業人としての考え方や行動の仕方の基本的な部分であり、経営者だけでなく、若い社員こそ意識して欲しいと感じ、それを題材にして「この本を使用した勉強会」を立ち上げたいと提案した。
若手社員に対し勉強会を開催しようと思ったのは「勉強する習慣を身に付けて欲しい」と常日頃感じていた事。
渡邊「私がリブランに入社した頃には、社外講師等含め、グループで学ぶ機会が存在していました。その中で、書籍を読む習慣や、セミナー等で自己研鑚するマインドを磨かれた覚えがあります。」
「近頃書籍等を購入したり、セミナーに参加している者が偏っている印象を受けたため、この勉強会を通じて、行動する、考える、学ぶのサイクルを身に付ける一助になればと考えています。」
自己申告研修制度
リブランの社内制度に「自己申告研修制度」がある。平成11年に手直しがあり現在に至る。
隠さずに言えば、渡邊が感じたように、利用する者が近頃偏っている傾向がみられたが、勉強会をきっかけにして新たな社員の利用が見られるようになった。
自己申告という制度を採用している最大の目的は、各個人が様々な視点の中から能力アップを図ることが出来るところにある。
研修費用は全額会社負担。社員が申告する研修内容は、ほとんどの場合否決されることはめずらしい。
会社が設定した研修では、同一方向のものしか与えられないが、50人の社員がいれば50の視点から新しい知識や情報を取り入れることが出来る。それだけ、会社の基盤が固まり、可能性が膨らんでいくと考えるからである。
この「自己申告研修制度」も「知の貯金箱」同様、大手他社なども取り入れているところはほとんどないと言えるリブラン独自の制度である。
社内勉強会を通じて、同年代の他部署の仲間を作って欲しいと感じて
渡邊「私自身は、何か物事を進める際には他部署の人間を巻き込み進めていく事や私には解決できない事柄を直ぐに相談し解決していく事を常日頃から行ってきていました。」
「普段の仕事に中で、自部署や直属の上司に相談するだけで完結してしまう事が若手社員の間は多いと感じます。自分の仲間を作り会社を動かしていく原動力となるような、人間関係を社内で構築していって欲しいと感じています。」
社内勉強会は、渡邊がファシリテーターとなり、毎月第2月曜日の朝からと時間を決め開催されており、現在11名が参加している。
渡邊「この勉強会を通じて少しずつお互い相談し合う環境が生まれている。」
「発言や発表の中で、私自身が気付かされる内容も多く、その発表の中には提案として昇華して欲しい内容や部内で問題を解決するための課題として提案すべき内容も出てきている。」
「“今ここ”と“少し先の未来”の両軸を見据えながら、経営者の一員として考え行動できる土台を作って行きたい。」
部長たちへのメッセージ
渡邊「この書籍に関しては、勉強会で部下が学んでいる本ですから、上席の方にもしっかりと読み込んで頂き、部内でのコミュニケーションツールとして使用して頂きたいです。」
若手に限らず上司も同じようにこの本を手に取ってもらえれば1冊の本を通じてコミュニケーションが図れるのではないか。これは「知の貯金箱」を利用して読んだ本を題材に社内勉強会を立ち上げた渡邊からのもう一つのメッセージだった。
参加者の声
参加している若手社員に聞くと「発表するレジュメを期限までに作ることに苦労することはあるが、同じ世代の同僚たちから聞く仕事に対しての考え方がとても興味深く、新鮮な感じがして毎回参加することが楽しい。」という答えが返ってきた。
きっと近い将来この勉強会に参加する若手社員の中からも、自ら新しいプロジェクトを立ち上げる者が現れるに違いない。
「私自身が一番楽しみながら、この勉強会を進めているのかもしれません。」という渡邊の言葉に、社内プロジェクトを立ち上げる醍醐味を感じた。
(総務部 太田)
19年前に見直された自己申告研修制度
(平成11年の資料より)
情報技術が急速な発達をしている現在、より多くの情報を迅速に収集し、経済やユーザーの動きを見据えながらいち早い展開をしていくことが企業の存続にとって非常に重要な要素となっている。ひとつの方向性に促し、同じ考え、同じ資格、同じ知識、同じ情報源を持っているだけの社員しかいない会社は時代の中で消滅していき、勝ち残ってはいけない。特に当社のように、企画を中心に事業を展開している会社は、多種多様な考え方、ものの見方、見識を社員一人ひとりが持っている必要がある。様々な見識がぶつかり合う中から、新しい方向性は生まれてくるものであり、新しい方向性を生み出せなくなる時に会社は、淘汰される。
現状を考えてみると、新しい事業展開としてのアイディアや会社の方向性などは、ほぼトプダウンで話が降りてきており、社員から生み出していく力はまだまだ弱いように思う。これから、会社が存続し続けていることを考えると、危機感を持って、いま個人の人材開発を行っていかなければならない。
また、社員側は、そういったものを生み出す力が無くては、リブランで働いていくことはできないし、リブラン以外の社会の中でも生き残っていくことは難しくなる。そのことを十分に認識する必要があり、社会人として人生を全うしていきたいと考えた時、自分自身の持っている能力に対して客観的に評価を下し、常により能力を高めようと努力をしていかなければならない。その能力を高める一環として、この研修を利用することが出来る。
そういった意味において、この自己申告研修は、会社側、社員側双方に有益な研修制度であると考える。大手他社などもここまでの制度を取り入れているところは殆ど無く、先進的にリブラン内で運営されているものである。今後のリブラン、もしくは今後の自分の人生について考え、個人と会社というものが切磋琢磨しながら、成長していけることが理想である。