熊本地震被災地支援「仮設住宅×緑のカーテン」プロジェクト③
2017年5月14日プロジェクト当日、快晴のもと「緑のカーテン」設置作業
仮設住宅に避難されている居住者の方々の中にはご高齢な方も多く、一緒に作業できないケースも想定されるため、基本的にはネット張等の設置作業はNPO法人緑のカーテン応援団(以下、「応援団」)スタッフとボランティアが行う。
そのためには、たくさんの人手が必要となるが、当日各地から集結した有志は70名を超え、当初予定をはるかに上回る数となった。
苗植えや水やりなど、ご高齢の居住者の方にもできる作業は、それらボランティアスタッフがサポートしながら一緒に行った。
応援団理事長(リブラン社長鈴木雄二)の朝礼でのご挨拶は、自身の想いと感謝あふれる気持ちを込めたものだった。
緑のカーテン講習会
設置作業開始前に、緑のカーテン講習会を行った。
園芸に詳しい講師やNPOスタッフが、居住者の方々、ボランティアの方々に、苗の植え方、肥料のやり方などの栽培方法や緑のカーテンの楽しみ方、効果などをアドバイスした。
先ず始めに、設置作業全体の流れを説明した応援団スタッフの三ツ口理事は、宣伝部に勤務するリブラン社員。プランターへゴーヤーの苗を植える手順や緑のカーテンを作るコツなど、大事なポイントをアドバイスした。
また、今回、リブランのマンションエコヴィレッジにお住いの藤岡さんも参加。日ごろからバルコニーでさまざまな植物を育てたり、自宅マンションの屋上緑化にも積極的に取り組むリーダー的存在である。ゴーヤーの苗の植え方や育て方、楽しむコツをアドバイスした。
さらに、東日本大震災における「仮設住宅×緑のカーテン」プロジェクトでも活躍された木家さんも参加。なんといっても現役消防士のプロだ。脚立に乗ならければならないネット張など、高所作業を安全に行う上での注意点をアドアイスした。
益城町テクノ仮設団地は広い!
団地内は広いため、陣頭指揮を執る応援団の理事長、副理事長は、地元JCさんが用意してくれた自転車に乗り、汗まみれになって動き回った。(写真は谷田副理事長)
緑のカーテン設置作業
益城町テクノ仮設団地は、6つのブロックに分かれている。班になって各ブロックに分かれ、資材を配布する役割、ネットを設置する役割、苗を植える役割など、役割に応じて順次作業を進めた。
遠方各地から集まってきたボランティアには、今日飛行機で帰らなければならないという時間との戦いもあった。
しかし、作業しながら、時に作業の手を止めても、入居者さんたちと語らう時間を一番大切にした。このプロジェクトに参加するボランティアスタッフへの一番の宝物は、仮設住宅に避難されている入居者さんの笑顔やお話しなのだ。
美味しかったカレーライス!そしてスイカ!
お昼休みは、入居者さんたちが心を込めて作ってくれた美味しいカレーライスをスタッフ全員でいただいた。
そして「熊本はこの時期がうまいぞ!」といって出してくれたのは、なんとスイカ!
真夏の食べ物だと思っていたが、快晴の太陽の下で作業をした合間にいただくその味は、また一段と格別だった。
昼食後、午後の作業の前には、地元の方々による歌やマジックが披露され、ボランティアスタッフも入居者さんと一緒にほっと一息。
緑のカーテンの作り方
応援団が作成した緑のカーテンハンドブックを印刷して、入居者の皆様にお渡しした。
このハンドブックは、緑のカーテンづくりを始める方々のために、応援団公式ホームページより、いつでもダウンロードできるようになっている。
ダウンロードはこちらから https://midorinoka-ten.com/tsukurikata/
毎年シーズンになると、各地の自治体などからも住民向けの講習会に利用したいという問い合わせが応援団事務局には多く寄せられている。
今回の印刷費用は、公益社団法人国土緑化推進機構「緑の募金中央事業」による熊本地震被災地支援「仮設住宅×緑のカーテン」プロジェクトに対する助成金によるため、クレジットが入っている。
無事に設置完了
入居者のみなさまと、たくさんのボランティアスタッフの協力により、緑のカーテンの設置作業は予定通り完了した。
西日が輝いていた。
お疲れ様でした!
事故なく無事に設置作業が終わり、懇親会。そして、記念写真を1枚。
その後、汗を流して帰ってほしいと地元JCさんが近くのお風呂を手配してくれて、感謝感激。ボランティアさんたちは、大喜びだった。
ボランティアさん、応援団スタッフの笑顔
入居者の皆様が笑顔になってくれたら嬉しい。
そして、ボランティアスタッフの笑顔も嬉しい。
東京から熊本へ、熊本から東京へ
応援団は東京都板橋区のNPO法人のため、東京~熊本間の移動や宿泊などの経費がかかり、また、ほぼ全員が本業を持つ傍らボランティアでNPO活動に参加しているため、熊本で長期滞在する計画は現実的ではなく短期滞在での実施を計画せざるを得ない。
8月に視察を予定したが、今年は台風のタイミングとことごとく重なってしまい、延期となってしまった。
したがって、苗の植え付け時以降は、学生ボランティアなど地元の方々の協力を得て育成状況の報告を受けたが、ゴーヤーがすくすく育つ様子を見て安堵した。
緑のカーテンの効果は
鉄とアスファルト、砂利に囲まれた仮設住宅に映える緑のカーテンは、そこに暮らす方々に潤いを与える。
同時に花々や野菜なども育てようとする意欲が生まれ、仮設住宅の敷地内に植物が増える環境は暮らしを豊かにする。
そしてそれは、居住者だけではなくそこに訪れる人々にも感じていただけるものとなる。
仮設住宅は、仮設であり不要となることが前提であるが、今そこに存在する人の暮らしに、この緩やかな変化が前向きに感じるられるような力が仮設住宅には必要なのではないか。そのことを、応援団は、東日本大震災の直後、緊急に立ち上げた「仮設住宅×緑のカーテン」プロジェクトの活動で、幾度となく被災地を訪れ、避難されている方々と対話した経験から学んできた。
今回、緑のカーテンから得られる様々な効果は、実際にはどうだったのだろうか。気になるところは、現地に行き入居者の方々から伺うことでしかわからない。
現地視察と企業によるイベント開催
9月、応援団は改めて視察を行った。入居者のリーダー的存在である吉村静代さんにも再会しお話をうかがうことができた。
また同じく9月に今回ボランティアとして参加したスタッフの企業によるイベントが行われた。このイベントも台風で8月から9月に延期となってしまっていた。
益城町テクノ仮設住宅の入居者のみなさまにとって、身近なところに緑のカーテンがあることでどんな出来事があったのか、視察やイベント通して少しだけ垣間見ることができた。
その様子や、さらに今後の新たな展開など、機会があれば、また書いてみたいと思います。
(総務部 太田)