代表対談
企業目的を軸にして
2023年4月、リブランは社長交代を行いました。
バトンを引き継いだ現社長の渡邊と、21年間社長を務めた現会長の鈴木によって行われた対談の様子を公開いたします。
社長交代 引き継がれるべきは、企業目的
まずは鈴木会長から今回の社長交代の意図について、
お話いただけますでしょうか。
鈴木:34歳の時に父であり創業者である鈴木靜雄から事業を引き継ぎました。人口の減少が進みつつある社会の中で新しい事業を立ち上げ、ある程度やり切った感覚が出てきたタイミングで世代交代を考え始めました。
2030年には東京都でも人口が減少に転じ、その5年後には23区でも減少します。最近の技術革新も目覚ましく、10年後には車が空を飛ぶ社会が実現するかもしれない。そうなると、流通や住宅のありようも大きく変化するだろうし、こうした時代の変化に合わせて社長も変わっていくべきだろうと考えたのが一点。
もう一点は、私自身が34歳で社長になりました。30代40代というのは人間的に未熟で荒っぽく、業界や経営の常識っていうものをある意味わかっていない。しかし、わかっていないからこそできる革新はあるということを体験した人間からすると、やはりその年代の人間が社長に就くべきだろうと。
18年後の2040年になった時、私は73歳。まだまだ元気でしょうけれど、経営者として長期のヴィジョンを描くのはなかなか難しい。そういう意味でも世代交代することがこの会社の利益になる。これが決断した理由です。
株式会社リブランの企業目的をきっちり体の中に染み込ませている人間でなければ次の社長は任せられない。そのためには社内の人間に「私が社長を辞める」ということを早いうちから明確に伝える必要がありました。
なので、まず年齢を切りました。最初は60歳になったら引退すると言っていましたが、それだと私のひとまわり下の世代は48歳になってしまう。それはもう暴れられない常識をわきまえた年齢。それでは会社はアクティブに変わっていくことができない。ならば私が退陣するのは60歳では遅すぎると思い、55歳にしました。
渡邊社長は、企業目的についてどのように考えられていますか?
渡邊:企業目的の中には「住宅産業は人間産業であり、人々の幸せに貢献していく」ということが記されていて、これがリブランの軸なんです。鈴木会長は、この企業目的の軸に合っているのかどうか、達成できるような方向性に会社が進んでいるかどうかということが全てにおいて判断基準の中で一番強いところになるんだと、これを軸として会社を捉えていかないといけないんだというメッセージをずっと伝えられていました。企業目的を軸に全てのことを判断していく、リブランの軸はここにあると考えています。
もちろん、会社なのできちんと利益を取っていかなければいけないし、利益がないと存続できないのですが、間違った判断基準で利益を取っても会社として続かないと思っています。企業目的を軸にして、社会に貢献し、認められてそこから利益をいただく。それが、会社を存続する軸となっていくことは、これからもずっと変わらないと思っています。
もう一つ、リブランは「挑戦、応援」という言葉を中期ヴィジョンの柱にしています。挑戦というのはリブランが新しい商品や新しいサービスを展開していくために一人一人が挑戦することで会社として進化するという考えから、企業目的の中にもある自己実現を達成するために小さいことから大きいことまで挑戦できる企業にしたい、それが社員の自己実現に繋がっていくようにこの会社をうまく使いながら挑戦して欲しいという想いから生まれました。
応援というところに関しては私自身、もちろん社員もですが、リブランに関わっていただいている全ての人を幸せにしたいと思っていて、その中できちんと他者を応援できる会社にしていきたいという想いがあります。
鈴木:私は少し違うふうに捉えていて、応援するというのはリブランの商品が持っている特殊性が強いから、提供している商品単体で住んでいる人を明確に応援することに繋がっているんだと、そう感じて応援というキーワードを使いました。
挑戦については、これは他社の物真似ではできないんです。先行していくビジネスだし、今この世の中にはない存在価値、つまりお客様もまだ気づいていない価値を実際に作って見せて「こういう暮らしがしたかった」と、気づきを与えていくことにチャレンジしていかないとマーケットは掴めないし、商品も作れない。だからそこに向かって挑戦していくことが重要で、挑戦と応援っていうのはコアな部分ではそういうことだと私は感じています。
リブランの強さ 嫌われるほど、個性を出せるか
今後は、リブランの価値や強みをどのように活かして
商品を作っていきたいと考えていますか?
渡邊:リブランの強みは社会にどう貢献できるかという意識を持って商品作りに挑戦し、住んでいる人を応援しているという部分だと思っています。また、55年続いている中小企業としての歴史があり、一度も赤字を出していない企業というのはなかなかないと思っているので、培ってきた長い歴史と財務体質も強みと捉え、その辺りも意識しながら次の商品の軸を作っていきたいと思っています。
要は本当にそれを必要だと感じている人に刺さっていく商品、それがないと生きていけない、これがあるからこういう生活や暮らしができるんだという強くお客様に刺さるものを商品軸に必ず入れていく。この刺さるものがないとリブランの商品とは言えないと思っているので、そこは変わらないところだと思います。
社会やお客様が本当に求めているものはなんだろうとか、まだ気づいていないけど次にこういうものがあったら嬉しいよねということを見つけるチャンスがここ数年ぐらいの間に出てくると思っています。ミュージションの強さや特徴だとか、ミュージションを待っていただいているウェイティングの強みだとかも活かしながら、次の商品を作っていきたいと思います。
鈴木:少し概念整理すると、嫌われる商品を作るべきなんです。圧倒的に嫌われる商品、関心のない商品、だけど特定の層にとってはなくては困る。そういう商品を作るのがリブランという会社です。
ミュージションは残念なことに家賃が少し高いんです。相場と比べると2,3割ほど。けれども音楽や楽器を自分でする人からすれば、まぁまぁ許容できるしむしろ安いと言ってくれる方も多かったりしますが、音楽をやらない人からすれば家賃下げてよという話になるわけです。そういう意味で音楽をやらない人からはめちゃめちゃ嫌われるというか、そもそも対象外の商品なんです。つまり嫌われるということが重要な判断基準で、嫌われるくらい尖るということが大事なんです。
新しい商品の話でいうと、次は住宅以外のところにシフトしていくという視野も持つべきだと思います。縛られることなくフリーハンドで考えていって、ただ企業目的をきっちり達成できるものでなければならない。やはり社会問題を解決していかないと面白くない。それをキャッチーでナンパなコミュニケーションでお客様に伝えて「きゃー面白い」と言ってもらえるような商品を目指して欲しいですね。
これからの人材 楽しいはお客様の喜びから生まれる
渡邊社長はリブランで働く社員のために、どんな環境を作っていきたいと考えていますか?
渡邊:「リブランが作った商品は楽しい」ということを社員が本当に信じることができ、社員が商品を作ることや展開することを楽しんでいることが外に伝われば、お客様や関係者の方も「リブランと関わると楽しい、ミュージションやてまひま不動産と関わると楽しい」となっていくと私は考えています。
今一緒に働いている人間が本気でその商品を信じられて、本気で楽しめるかというところが、最終的に会社が人に与える影響に繋がってくるし、まずは社員たちが楽しめる環境を作っていきたいと思っています。
鈴木:私は逆なんです。社員が楽しいだけでは意味がない。商品は嫌われるべきと言ったように、嫌われる裏側には特定の嗜好性を持った熱狂的なファンがいるはずなんです。そのファンの人たちがめちゃめちゃハッピーになる商品を提供できる会社だから、リブランにいる社員は誇りを持って働くことができる。
今はリブランの商品が完成している段階で、そうなってから入社した社員は「リブランが好きです」「ミュージションが好きです」「てまひま不動産が好きです」と言ってくれる人が多い。それは大変ありがたいことだし素直に嬉しいのですが、それは商品があってお客様もすでにいて、そのお客様がクレイジーに喜んでくれてという一連のアウトプットがあって、それを実感できているから今新しく営業したりすることができるわけです。
だからお客様を喜ばせることができた、それを実感したから社員たちが誇りを持つ、楽しいと思える、そういう物事の回転だと思います。なので冷徹に商品を設計していって、お客様がまず最初に熱狂的に喜んでくれないと社員は楽しんでいる場合ではないと私は考えています。
渡邊:私はその商品を設計していく段階で、まず自分たちが本気で信じられるかというところも大切だと思っています。楽しいというのは楽しいことだけやるということではなくて、その楽しいと思える一瞬に辿り着くために苦しんだり徹底的に自分を見つめ直す過程も含まれていて、私はこの商品は信じられるという確信を社員に掴ませてあげる必要があるんだと思います。そう言った意味では、会長がお話しされたことと矛盾は感じてないです。
一緒に働く人に向けてメッセージをいただけますか?
鈴木:リブランは私の退任で新陳代謝が始まりました。そういう意味でも、一つ大きな仕事をする人間を育てていかなければいけないし、そのチャンスがこの会社の今にはあります。上の立場になれば、社員たちに有効に働いていただけるような環境を提供しなければいけなくなるし、戦略的な視点を持って少し大きな意味で社会を捉えていく必要もでてきます。
それには勉強が必要で、必要な知識と自分の興味が重なるようにアジャストしていく努力というのをそれぞれがしていけたら、よりエキサイティングな仕事ができるんじゃないかと思います。
渡邊:「リブランでこれがしたい」という思いを持って入ってきてくれる人が現れたらリブランの強みになるだろうし、逆にリブランのここが気に食わないということを思いながら次のリブランを一緒に作ってくれる人が出てきても面白いと思います。
そのためにもちょっとした負荷を楽しめる人材が欲しいと思います。筋トレや運動と同じで負荷が高すぎると怪我をしますが、ちょっとした負荷は自分の体を作り替えることに役立ちます。普段の勉強や仕事も自分で限界を決めないで、ちょっとした負荷を楽しんで自分の成長を楽しめるような人材にきて欲しいし、そういう社員が増えると嬉しいです。
鈴木:これからはとにかくクレイジーな商品を作って欲しい。リブランは正気じゃないと他社が思っていても、お客様が泣いて喜ぶような商品をこの会社は作れる。もちろん努力もしなきゃいけないし、いくつかの偶然も必要だし、その偶然を起こす力も必要だし、でもそれができる土俵ってそうないですよ。それを理解して挑戦してくれる人が入ってくれたら、面白く暴れられるんじゃないかと思います。
渡邊:そうですね。クレイジーな商品、突き抜けた商品を企業目的を軸にして作る。楽しい商品ってなんだ、楽しい会社ってなんだというところは私が考えるべきものですけれど、そこに立ち向かっていけるような組織を作るので一緒に挑戦して行きたいと思っています。